ホームLinkIconエッセイLinkIcon エッセイ 2012年11月号

エッセイ



不安の理由


 
人間には不安がつきもので、常に背負って生きている。不安がまるでないとしたらボケてしまうかもしれない。ほぼ不安なく何事もない生活が鏡のような池面だとして、そこに小石が投げられると、とたんに心に波紋が生ずるのが普通の人であろう。

禅僧のいう悟りの境地にでも達していれば不安を生ずる余地は少なかろうが、全くないとは言い切れない。よく「泰然自若」の境地と言う。その境地にあれば何事が起こっても揺るぎが少なく不安への振幅度は低いはずだが、あくまで有事にうろたえるのはみっともないということを美化しただけである。

逆に不安の効用もある。「だいじょうぶだよ」といって平然としているうちに抜き差しならない事態になってしまっている場合もある。また世の人は不安だから対策をうつ。保険や年金はそれをシステム化したものである。

不安の原因は外部から飛来するもの(リスクと言える)と内部から発生するもの(取越し苦労やコンプレックス等)に大別できるかと思うが、さらに列記すると1.健康上しいては生命の不安・身体破損の不安:健康そのものの不安の回避はひとかたではない。但し当座の身の安全の不安の回避は簡単なものならその場の身のこなしでできるしそれ位の修練は生きてゆくうえで必要だ。

2.名誉毀損の不安:それによって現状の地位がおびやかされ、信用が失墜され仕事・日常生活がおびやかされる。

3.犯罪をおかしてしまう不安:犯罪は自ら目論んでおかしてしまう場合と図らずも行ったものが刑法等に抵触してしまう場合がある。携帯電話での覗き見写しなどは自ら目論んだものであろうが逮捕されればたちまち前記2に該当してしまう。

何気なくことなく繰り返しているうちに不安を棚上げにし、気がついたら後ろに手がまわるという結末を迎える怖しくもタチの悪いものだ。

4.人から嫌われる不安・人間関係を失う不安:それらを当然平常人はもっているものだ。家族・友人・同僚・恋人等々との良好な関係の失墜は手痛いもので、よって保つために相当なエネルギーを費やしている。

但しあまりに無神経や自分というものが強すぎる人はそれを乗り越えてしまっている。

5損をする不安:これは刻々損をするのがわかっていると、いいしれず不安になるものだろうが気が付けば大損になっていたとしたら当面落ち込むが人によってはすんなりあきらめの境地(もちろん時間は要するが)になることもある。

又いつまでもあとをひくと体の具合が悪くなったり精神不安定になったりすることもある。

以上不安の要因の代表格を思いつくまま縷々述べた。また、時代によっては不安の種類・出現要因が変わってきているはずだ。当然身をおいている国家(地理・地勢)の存在が大きい。現在の日本に生きていれば、いきなり砲撃をうけるリスクは0に等しいので幸便なのであろう。

冒頭不安のない生活はないと言ったが、ならば愉しむとまではゆかずとも、うまく付き合うしかない。不安には緊張・ストレスの負荷がかかるが、私のような凡人(世人の多くは)はそれらがなくなるとたるんでしまうだろうし乗り越え克服してゆければ進歩もあろう。

当然受容のキャパシティ(器)の大小があり、あふれるだけならよいが器自体が決壊してしまう(心身症・鬱に陥る)こともある。そうなってはどうしょうもないので、うまく回避(逃避)するか、さもなければ器を大きくする不断の努力をするしかない。

考えれば人間の生活の基底は脆いもので、前述の様にリスク等が外部要因で、純粋な不安が内部要因とするとそのせめぎ合いの中、平衡感覚をうまく保って生きてゆくのが生き抜くうえでの一つの要諦なのかもしれない。

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