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エッセイ



「道楽」とは


 
「道楽」という言葉を辞書でひいてみると「仏道修行によって得た悟りのたのしみ」という意味があり、本来は仏教用語のようである。

世間では趣味・娯楽にあらぬ労力・お金をつぎこみ、本業などをおろそかにして遊興に耽ることを道楽者という。また、「好事家」「粋狂者」という言葉もある。「好事家」はちょっとお金持ちで自分も趣味に耽ると同時に芸人・芸術家などのいわゆるパトロン・支援者になって面倒をみたりするイメージもある。

「粋狂者」になるとやらなくてもいいようなことをやっているとか、ちょっとおせっかいなイメージもでてくる。

「奇特な方」は神社仏閣や慈善施設への寄付行為、若しくは早起きして町内の掃除をしているというような良いイメージである(場合によっては皮肉で使うこともある)。でもいま挙げた「好事家」「粋狂者」「奇特な方」も大雑把に言って「道楽者」の範疇に入る。

私はある日人間が生きるのに(生命を保つのに)必要な行為はごくわずかと思った。最低レベルだと息をする・排泄する・食料飲料を摂取する・極端な暑さ寒さから自分の身を回避する・苦痛の起きない姿勢でいる。まあこんなところだろう。それらを確保する為に住まいを持つ、お金を得て食料を買う。

原始時代は貨幣がなかったので前述の最小限をキープすることを主に人は生きていたのであろう。

更に考えた。起きてから寝るまでその前述の最低行為以外はほとんど「道楽」で成り立っているのではと? コーヒー・日本茶を飲むのは道楽だし、トイレに暖房便座付ウォシュレットを付けるのもいわば道楽だ。こんな原稿書いているのは道楽の極みだ。

この稿のヒントを得たのは小林秀雄の講演のCDの中で、チョコチョコ薬局に行き種々の売薬を買って飲んでいる人がいるが、そんなのは一種の道楽なんだよという一言だった。

どこか直したいから薬を飲むはずなのに道楽だというのもなんだなと思ったが、あとでそうかもと感じた。本当に直したかったら医者に行って処方してもらった方が良い。なんとなく日常的に飲んでいると安心する程度のことが多いので氏は道楽と斬って捨てたのだ。

極論すると家庭を持つのも道楽かもしれない。「ヒト」という生物学上の種の保存には「男・オス」と「女・メス」が性交(交尾)してメスが子供を産めばこと足りる。性交が趣味・娯楽(道楽)化したのは人類だけだろう(猿の一部にもそういう要素はあるらしいが)。

おそらくメスたる個体は妊娠して食料を得にくい時期があり、産んでからでもヒトは成人化するのに時間がかかるので社会的進化の結果、婚姻が確立されたのであろう。家庭を持つのを道楽と言ったら非難されそうだ。あんな女(男)と暮らして粋狂だとよく世間はいうが・・・

仕事は道楽ではないのが当たり前と思われるが、細かく見てゆくと存外道楽の要素は多い。例えば売れ筋でない商品を思い入れて多く仕入れていたり、今ふうの効率良いやり方があるのに固執して自己流を変えないとか枚挙にいとまはなさそうだ。

人から「道楽」を取り去ったら生活はなりたたないと考えると、生活と道楽はないまぜと言える。道楽性は文化性でもあろう。ほとんど道楽性をもたない人がいるとすると、一介の生きもの(または法律上の自然人)としては機能しているのに変人視されること必定だ。とかく人の世・行いはいたく妙なものである。

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